フェスト×1
ボク、ピコです。
今から半年くらい前に、妖精の森にやってきたおねえさんにつれてこられてしまいました。
すごくすごく、森に帰りたくて毎日泣いてしまいました。
そしたら、おねえさんが帰っていいって言ってくれたんです。
帰っていいってことは、ボクは必要ないてことですよね。
がんばったのに…悲しくて泣いてしまいました。
そしたら、おねえさんがいていいって言ってくれました。
必要って言ってくれて嬉しかったけど、森に帰りたいです。
ボクは茶妖精としてやってきました。
初めて工房に足を踏み入れた時は、本当に怖くて、怖くて…。
ボク、泣いちゃいました。
おねえさんは、そんなボクにフェストを渡して研磨剤を作るように言いました。
調合、です。
ボクは茶妖精なので、調合できますけど、採取のが好きです。
外だったらいざという時逃げられるからです。
それからずっと研磨剤作ってます。
研磨剤って作るのに凄く時間がかかります。
おねえさんでも1日かかるらしくて、ボクが作ると一週間もかかりました。今ではもう少し早く作れるようになりましたケド。
とにかく、毎日毎日硬いフェストをすり潰してます。つかれました。
それでも段々慣れてきたような気がします。
ボクの作った研磨剤を使って、おねえさんやパトロナ達が雨雲の石とか色々作ってるのを見ると、ボクも必要とされているんだ。と、すごく嬉しくなります。
最近では、昔ほど森に帰りたいと思わなくなりました。
これって、働く充実感って言うんでしょうか。
あ、ノックの音です。誰か来たみたいです。
おねえさんは、優しくしてくれるし好きなんですが、この工房に来る人はまだ怖いです。
意地悪そうなおねえさんとか、怒ってばかりのおにいさんとか。
あんな人たちと笑って話せるおねえさんってすごい、と思います。
訪問者は、おばさんでした。
この人もすごい怖いです。生理的恐怖ってやつでしょうか。
理由なく、どきどきしてしまいます。
おねえさんも、この人のことは怖がってます。
あ、でも、今日は何だか喜んでいます。
先生(『おばさん』て呼んではいけないそうです)が『ブレンド調合』というものを教えてくれたそうです。
おねえさんが喜んでると、ボクも嬉しいです。ブレンド調合って何だかよくわかんないですけど。
あれ?おねえさん、ボクと同じ研磨剤を作り始めました。
他の人が研磨剤を作ってるのを見るのって随分久しぶりです。
何だか嬉しくなって、ボクもがんばって作り上げました。
おねえさんの研磨剤が出来上がったみたいです。
ボクの作ったやつよりキレイだし使いやすそうです。
でも!ボクもがんばりました。ちょうど出来上がったんです。いつもよりキレイに出来たような気がします。
と。
「よーし!品質A+効力Aの研磨剤が出来たぁ。
今までのは売っちゃおうっと」
ボクの、半年の努力が…。
たったそれだけ、ですか。プリチュを二ヶ月雇うことも出来ないんですね。
…森に、森に帰りたい………。
※エリーのアトリエサイト、「オレンジの軌跡」様閉鎖の為、頂いてきた品々です。
こちらの5作品を書かれたのは、管理人をされてらっしゃった「まはる」様です。なので二次著作権はまはる様にあります。無断転載などはされないでください。
閉鎖を知り、無理を言っていただいてきてしまいました。こんなに素敵な作品がWEB上からなくなってしまうというのは凄く残念な事だと思ったのです。では、どうぞお楽しみくださいませ。
プリチュを二ヶ月雇う事も出来ない。という台詞に素直に笑ってしまいました。
エリーをやった事がある人だと分るんですが、妖精さんには個々に性格があります。
「頑張ってるぜベイベ」とかかなり可愛いです。