この度、目出度くもザールブルグの若き王は他国から后を迎えることになった。
ドムハイト王国の皇女である。
「だからって、何で俺がこんなことしてんだ?」
照りつける陽光の中ぼやくダグラス。
誰も答えを返すものはいない。そもそも、エンデルク隊長との二人連れなのだから答えを期待しようと言うほうが間違っていると言ってしまえばそれまでだが。
ダグラスの視線の先にいるのは、隊長。彼は腹筋を終え腕立て伏せに入っている。
まぁ、二人しかいない海辺だ。他に見るものがないと言えばそれまでだ。
「たっくよー。いくらドムハイトが海辺の国だからって、俺達がうまく泳げなくたって構わねぇだろうに」
もともとダグラスは水の少ない地域で生まれ育っている。ザールブルグに来てから練習する機会があり、今は一応泳げるようになっているが水準には満たない程度だ。
ということで、今回の特別指導の指名を受けてしまったらしい。
「しかも、隊長と俺でカスターニェくんだりまで来て…。あーあ。ザールブルグも平和だぜ」
結構大きな声でぼやいている。
が、従が従なら主は主である。聞いちゃいない。
結局文句を言ったところで、根はマジメなダグラスである。腹筋の続きをやりはじめた。
それから数時間。
早朝から始まった訓練は、とりあえず昼食の中休みを取ることになった。
食事を終え、さぁ続きを。と、最初ぼやいていたのはどこへやら、すっかり乗り気のダグラスに隊長の声が飛ぶ。
「ダグラス。そこに立ってみろ」
ダグラスを立たせて、まじまじと見入る隊長。見てるどころかべたべた触っている。
「た、たいちょう?何されてるんですか?」
体を弄られて居心地の悪そうなダグラス。だが、隊長はいつも通りそんな陳情は聞いちゃいない。
「ふむ。左脇の筋肉が弱いな。腕立てをする時は、もっと…」
どうやら、よりよい体へ近づく為の模索をしてくれていたらしい。言葉は足りないが部下思いの隊長だ。
そんなこんなで日は過ぎて。
いつまでも離れているわけにも行かず、彼らはザールブルグに戻ってきた。
結局ダグラスの体はエンデルク隊長が求めるラインにまで到達することは出来ず、戻ってきてからも更なる精進を誓っての帰宅となった。
それから数日後。
「ダグラス。最近の調子はどうだ?」
言いながら体を弄る隊長。
ダグラスはすっかり慣れた様子で弄られている。
「ふむ、大分いい体になってきたな」
でも、まだ少しこの辺りが弱いぞ。
更に課題を出して去っていった隊長。
「ダグラスくん、どういうことだい?」
柱の影からそれを見やるアレ。
ハンカチを持っていたら、引きちぎっているであろう歯軋りっぷりだ。
ダグラスの受難は、今始まったのだった…。
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***** あとがき ***** ***
はーい。
山もオチも意味もございません。あはははは。
『海』『エンダグ』という言葉で何だか連想してしまいました。
ちなみに、きっと海辺で体鍛えてたエンデルク様はビキニですね!(アホだ、私)。
それにしても、エリアトってなんでアレいるんだろう。
リリーにも妙な兄ちゃんいるしなぁ(遠い目)
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※エリーのアトリエサイト、「オレンジの軌跡」様閉鎖の為、頂いてきた品々です。
こちらの5作品を書かれたのは、管理人をされてらっしゃった「まはる」様です。なので二次著作権はまはる様にあります。無断転載などはされないでください。
閉鎖を知り、無理を言っていただいてきてしまいました。こんなに素敵な作品がWEB上からなくなってしまうというのは凄く残念な事だと思ったのです。では、どうぞお楽しみくださいませ。
アレな騎士の名前は、スタッフロールで「アレ」って書いてあります。
彼が調合に関わる主要な(?)人物だと知った時の衝撃ったら……。
もうアトリエにはアレがいてこそみたいな?(笑)