アカデミー3年目の試験が終わった。
エリーは結果発表を見るために、アカデミーの門をくぐり、赤絨毯の敷かれたフロアへと向かった。
寮住まいの生徒たちは朝一番に見たのだろう、壁に貼られた成績表の前には誰もおらず、ショップの周りに数人がたむろしているだけだ。
エリーは、手の平を胸の上に持っていき、一息大きく息を吸ってから、成績表を見上げた。
左から、ゆっくりと名前を確認していく。
去年は、ちょうど真ん中くらいの成績だった。試験前に依頼が重なって…というのは言い訳にしかならない。今年は結果を出したかった。
── ない…。まだ、…ない。
中間付近を過ぎて、更に上位へと見て歩きながら、もしや見落としたのだろうかと思ってしまう。
アカデミーの生徒は一学年で約300人。
エリー以外はほぼ寮で生活していて、まれに、市内の自宅から通うものがいる。
右端にたどり着きそうになって、足を止めた。
すでに残りの名前は10名ほど。やはり自分の名前は見落としてしまったらしい。
「あ、アイゼルは5位かぁ。すごいなぁ」
思っていたより羨ましそうな声が出てしまったのは、今年の試験に手ごたえを感じていたせいだ。体調にも気を使ったし、採取に出かけて試験範囲を見落とすようなこともなかったというのに。
ため息が漏れる。
それからちらりとTOP3に目をやる。
「……え…?」
ノルディスの名前がある。それは、毎年見てきて当たり前の光景だ。
その右隣。
一位 エルフィール・トラウム
自分の目が信じられずに、何度も瞬きも忘れて見入ってしまった。
「え、え……、ええ~っ!」
大きな声に、ショップにいた数名が振り返り、エリーの姿を認めると、ひそひそと小声で何か言っている。
いたたまれなくなって、エリーは慌てて成績表の前を離れ、観葉植物の裏に隠れた。
「ど、どうして…?」
自分の目が信じられない、とはこのことだ。もう一度戻って確認してみよう、と踵を返す。と、目の前に白い壁。
避け切れずにぶつかった相手はノルディスだった。ここ最近彼もぐっと背が伸びて、エリーはノルディスの肩あたりにぶつかったようだ。
「ご、ごめんね、ノルディス」
「ああ、エリー…」
エリーの勢いとは裏はらに、ノルディスの顔色はいつにもまして青白い。それに、真後ろに立たれたにもかかわらず、その気配を感じなかったことに、エリーは小首をかしげる。
「どうしたの、ノルディス。なんだか具合が悪そうだけど」
「いや…大丈夫。大したことないよ」
「そんな感じじゃないけど……」
と、ショップの方で騒ぎが起きたのはその時だった。
高く上がる声に聞き覚えがあって、エリーとノルディスは同時に振り返った。
「あれ? アイゼルじゃない」
他の生徒と何か言い合っているらしい。
彼女にしてはひどく珍しい光景だが、人数は二対一だ。
ルイーゼがおろおろとしながらも止めに入ろうとしているのをみて、二人は目を見合わせ、そちらに走った。
「……撤回しなさいよ!」
「なにを?」
どうやら、憤っているのは相手の女生徒二人のほうで、アイゼルは腕組みをし、涼しげな表情で、しかし力強く相手を見返している。
「アイゼル」
ノルディスはアイゼルの隣に立ち、かばうように肩に手を置いた。「どうしたの?」
アイゼルは振り返り、ノルディスの顔を見ると驚いて目を見張り。さらにエリーの姿を見つけると、居心地悪そうに顔をそむけた。
「どうしたんだい?」
ノルディスは半歩前に進むと、女生徒二人にも声をかけた。
穏やかなノルディスの仕草は、だが、二人を一歩下がらせる。
「別に…なんでも……」
口の中で言葉を濁し、二人は教科書を抱え、最後にアイゼルを睨みつけて、行ってしまった。
「アイゼル……」
ふう。とため息をついてノルディスが振り返る。エリーも心配そうに彼女に寄り添った。
「なんでもないのよ」
尋ねられる前に、きっぱりと言い切る。落ち着いて見せているが、気の立った気配がする。
「アイゼルさんは、エリーさんをかばったのよ」
端から声をかけられて、二人は振り返った。そこにいたのは売店のルイーゼ。彼女は掌を握りしめて、彼女なりにひどく怒った顔をしてカウンターの中からいった。「あの二人が先に、ここでエリーさんのこと噂していたの。それをアイゼルさんが止めに入ったのyよ」
「そうなんだ…」
エリーはそれを他人事のように聞いて、うなづいた。
だが、ノルディスはそれ以上が気になったようで、ルイーゼに向き直る。
「エリーの噂ってなんですか?」
「それは…」
口ごもるルイーゼの代わりに答えたのは、アイゼルだった。
「この子がカンニングした、っていう噂よ。…だから私、そんなことを想像する人の品性を疑うわ、って言っただけよ」
視線をそらし、荒い口調で一息に言うと、ルイーゼは気まずそうにエリーを見、ノルディスはアイゼルを見て少し考える。
逃げて行ったあの二人の様子を見る限り、今以上のきつい台詞を、アイゼルは言ったのだろう。
ノルディスも、もうすぐ3年になるアイゼルとの付き合いで、それがよくわかっている。
うつむいたアイゼルと、どうしていいかわからない様子のエリーに、肩の力を抜いて微笑みかけた。
「多分、僕も同じことを言ったと思うよ」
びくりとアイゼルの肩が揺れ、蒼碧の瞳がノルディスを見あげる。
微笑んだ顔を見ると落ち着いたのかもしれないが、すぐに頬を染めて目をそらした。
「あ…でも、ちょっと言い過ぎたかも…しれないわ」
アイゼルは、大事なものを守ろうとするときに、ずいぶんきつい言葉を使う。
照れた時には、ひどく片意地を張る。
エリーはそんなアイゼルの様子を見て、思わず嬉しくなってしまう。
酷い噂を伝えられるより、心配してくれる友人がいるほうが、自分にとっては大切なのだ。
「ありがとう、アイゼル」
「…何よ…気持ち悪いわね」
「へへ…」
そんな二人を見て、ノルディスもルイーゼも、ほっとした顔をした。
「それでね、アイゼルがかばってくれたんだ」
シグザール城の城門前。
警護に立っているダグラスに、エリーが嬉しそうに、今日あったことを伝えている。
「へぇ…あのお嬢さんがか。やるじゃねぇか」
一緒に採取に出て、何度もやり込められた事のあるダグラスは、その場面を想像して思わず笑う。彼女の文句は、文句をつけようがない文句だから、ぐうの根も出なくなるのだ。きっと、その女生徒たちも、今頃布の端を噛んでいるころだろう。
すぐにダグラスに話したかったようで、駆け足で走ってきたエリーは、真夏の太陽に汗ばんだ背中を、城門の日陰側、冷えた石壁に当てて涼んでいる。
ダグラスは広場に目を向けているし、エリーはその広場から見えない場所にいるから、 はた目には、二人が話をしているとはわからないだろう。
一度、エンデルクに注意されてからずっと、こうしている。
通常、城門には二人一組の騎士が警護につく。
もう一人も門の向こう側に立っていたが、エリーのことは見逃してくれているようだ。
騎士隊の中では、暗黙の了解。
代わりにダグラスも、他の騎士が同じことをするときには、協力する。
「…で?」
警戒を怠らぬまま、ダグラスはエリーを促した。「お前結局、試験の結果どうだったんだよ」
「あ。えっとね」
一位だったんだ。
のんきな声でそう聞かされて、ダグラスは思わずエリーのほうを振り返ってしまった。
「一位だぁ? お前、確か去年は…」
「真ん中くらいの成績だったんだけど」
エリーは体全体で照れくさがるように、もじもじとした。
「……まじかよ…」
また、先を越された。
ダグラスは悔しいというより、あっけにとられてつぶやいた。
依頼をこなしたり、採取に行く時、努力しているのは知っているが、アカデミーでのエリーのことはあまり知らない。採取や依頼をこなしながら、合間をみて通っているのは知っているが。
再び前を向き、ため息をついた。
それをどう思ったのか、エリーが慌てて言葉を足す。
「あ、カンニングはもちろんしてないよ」
「疑ってねぇよ、莫迦。 …力、つけた結果だろ」
そういうと、エリーが嬉しそうに笑う気配がした。
ダグラスも、前を向いたまま笑ってやった。
「私、帰るね」
依頼を終わらせなくちゃ。とエリーが城門の影から出てくる。
「おう」
エリーの晴れ晴れとした顔をみると、気合が入る。「気ぃつけて帰れよ」
うん、とうなずき、もう急がなくてもいいのに駆けていく後ろ姿を見送って、あんなところは変わってねぇなぁ、とダグラスは思った。
それから3日後。
ドアをノックする音に振り返ると、木鶏がアイゼルが来たことをエリーに報せてくれた。
「おじゃまするわね」
いつもの調子で工房に入ってきたアイゼルは、勧められた椅子に座って辺りを見渡す。
「ふぅん。最近きれいにしてるじゃない」
「うん。あんまり調合に失敗しなくなってきたからね。今日はどうしたの?」
相手がアイゼルならと思うのか、手を休めずにエリーが尋ねると、アイゼルは姿勢よく座ったまま、何かを言い出しかねる様に口ごもった。
「依頼?」
エリーが不思議そうに振り返るが、アイゼルが何も言わないのが気になって、フラスコを置いた。
「依頼ではないのだけど…。ちょっと時間、いいかしら?」
どうやら、もっと違う話らしいと気づいたエリーは、ふぅんと頷いて奥のキッチンへ入る。
「ミスティカティでいいかな? 井戸水で冷やしておいたのがあるよ」
「いいわね。外は暑くって」
普段あまり寮から出ないアイゼルにとって、ただでさえ人が多く、埃っぽい職人通りは、夏ともなれば避けたい場所だ。こうして、親友がこの場所に工房を構えていなければ、もしかしたら一生足を踏み入れることさえなかったかもしれない。
涼しげなグラスに注がれた、薄いグリーンのお茶は、すっと喉を潤す。
「おいしいわ。いい出来ね」
「ダグラスも好きなんだよ」
何の気なしに言った一言に、アイゼルは腿の上にカップを留めてしまう。
沈黙に気づいたエリーが顔を上げると、きゅっと唇を閉じて、アイゼルがエリーを見た。
「……ノルディスのことなんだけど」
ああ、なるほど、とようやく気づく。
アイゼルがノルディスを好きだということは、ずいぶん前から知っている。
それも、とても一途に純粋に。
その気持ちが真剣すぎて、今年のバレンタインもまた、チョコを渡せなかったことも。
「うん。ノルディスがどうかした?」
だからなるべく気軽に返事をして、アイゼルの傍に椅子を引いてきて腰かける。
「……この間のこと、あったでしょう? あなたの変な噂のこと」
「もしかして、あの後何かひどい事されたの?」
妙な想像をしてしまって、エリーは身を乗り出す。
「違うわ。あの人たちなら、怖がって近寄っても来ないわよ。ただ…ノルディスが私のことをずいぶん気にしてくれて」
グラスのふちを無意識に指でなでながら、アイゼルはそれを思い返す。
ノルディスはイングリドの、アイゼルはヘルミーナの生徒だ。
同じく専攻している科目はそんなに多くない。アイゼルから会いにいかなければ、ノルディスとはなかなか会えなかったのが今までのことだ。
けれど今は、ノルディスがアイゼルを探しに来てくれる。
多分…いや、絶対に、アイゼルを守る気でそうしてくれているのがわかる。
「……期待をしてしまうのよ。あんなことをされると」
ノルディスは誰にでも優しいから、と小さく笑った。「あなたたちはいいわね。もう恋人同士なんだもの」
「恋人…っていうか、その…」
はっきり言われると照れてしまって、アイゼルは苦笑して、からかうように付け足した。
「ついこの間のこと、私は忘れてないわよ」
ダグラスが真夜中にエリーの家から出て行ったと聞かされて、心底驚いたことを思い出し、アイゼルは笑う。「あなたたちを見ていると、羨ましくなるわ」
微笑まれて、エリーは照れ隠しもあって大きく首を横に振った。
「あ、でも、ノルディスはアイゼルを大事にしてるじゃない」
アイゼルは机の上のアイテムに目をやり、ため息をついた。
「同期としてね。きっと、それ以上の気持ちはないわ……でも…」
「でも?」
「焦っているわけじゃないけれど、このままでいいのかしらって思うようになったの」
どこか不安げに、一つ一つ言葉を選びながら、アイゼルが話す。「定期試験も終わって、アカデミーにいるのももうあと1年とほんの少しの間だけよ。それは…学生の本分は勉強だと思っているけど…」
ちらり、と釘をさすように視線を送られ、矛先を向けられそうになったのを感じて、エリーは慌てて言った。
「あ、だったら告白しちゃえばいいじゃない」
軽い言葉に、アイゼルがぽかんと口を開ける。彼女にしては珍しく。
「ちょっと、あなた、簡単にいうけれど……」
「だって、アイゼルだって私が悩んでた時には、そう言ったでしょ?」
ミスティカティを飲むのも忘れて、お互い顔を近づける。
「言ったけれど…結局あなた、告白なんてしなかったじゃないの」
近くの森に行った日のことを微にいり細にいり、事細かくエリーに報告させたのはアイゼルだ。むろん、自分の時の参考にしようと…したのか、ただの興味か。
「だって、あれはダグラスが……」
たった半年前のことだ。エリーもしっかり思い出してしまって、頬が赤くなってしまう。
そんなエリーの様子に、アイゼルは笑って小首を傾げ、冗談めかして言った。
「あーあ。ノルディスも、あなたの聖騎士のように、あちらから言葉をくれないものかしら」
── そんなことがあったら、どんなにいいだろう。
というよりこの3年、アイゼルはそれを期待して待ってしまっていた。
いつか自分の気持ちに気づいてくれるかもしれない。
見つめていれば振り向いてくれるかもしれない。
アカデミーショップの前で口げんかをしたあの女生徒たちの顔を、アイゼルは実のところ知っていた。今年の冬、ノルディスにチョコをあげているのを見ていたからだ。
── あの子たちのほうが、よっぽど勇気があったわ。
今のアイゼルにはそう思えた。エリーのことはもちろん大事だったけれど、いつになくきつい言葉を向けてしまったのは、それが原因の一つだった。
何かを始めないといけない。
エリーが定期試験で一位を取って、その努力の量を思い知らされた。
何もしなかった自分は、なんて莫迦だったんだろうと思った。
「え? 私ダグラスからは何も言われてないよ?」
「え?」
ぼんやりしていたアイゼルは、エリーの言葉に顔を上げた。「ちょっと、どういうこと? お付き合いすることになった、ってあなた言ったじゃない」
うーん、とエリーは頬を掻いて、困ったように笑った。
「なんだか、いつの間にかそんな感じに……」
自分からの言葉にした告白なら…つい、先日したような、しないような。
それでも、ダグラスが自分を大事にしてくれているのは、よく分かっているから、アイゼルに向けてにこりと笑った…が。
一瞬、ほんの僅かだけ。
ちょっとだけ。
ダグラスにも恋愛小説に出てくるような告白をしてもらえたらなぁ、などと思いはしたけれど。
「……そんなこともあるものなのね」
思わず脱力してしまったアイゼルに、エリーは心によぎったことを脇に置き、ついでにグラスも作業机の上に置くと、こぶしを握らんばかりの勢いで言った。
「それよりノルディスのこと……どうするの?」
アイゼルは脱力したまま、彼女にしては珍しく、椅子の背に体をもたせかけた。
そして、しばらく沈黙が続き。
やがてアイゼルは、手にしたグラスをもてあそぶのをやめた。
「……告白なんて……いつ、したらいいのかしら」
きっとエリーに背中を押してほしかったのだ。とその一言で気づく。
「アイゼル!」
エリーの嬉しそうな様子に、ふいと顔をそむけるアイゼル。
きっと、頭の中でいろいろな場面を思い描いているのだろう。告白の場所や、時間や、想いを受け入れられるかもしれない、断られるかもしれない、そんな気持ちにエリーも心あたりがあった。
「夏祭り」
ぽつり、とエリーは言った。「夏祭りがいいんじゃない? 毎年みんなで行ってるじゃない」
「『みんなで』ね。今年も一緒に行くでしょう?」
祭りまではあと2週間もない。
定期試験が終わって、アカデミー生たちがみんな楽しみにしている行事だ。
「あ。今年は私、行かないよ」
けろりとした顔で言われ、アイゼルは驚いて顔を上げる。
「なぜ? 毎年一緒に行っていたじゃない」
「カスターニェに行くんだ」
アイゼルは、軽く目を見開いた。
「今やってる依頼が片付いたら…というか、きっともう今日には終わるんだけど。明日旅支度を整えて、明後日には出るつもりだよ」
「この間、行ったばかりじゃないの」
つい、咎めるような口調になってしまう。
旅が危険だったことは、帰ってきたエリーの言葉の端々から理解している。山賊、見知らぬモンスター、エリーたちの帰還後にカスターニェから流れてきた噂…フラウ・シュトライトのことを聞いた時には肝が冷えた。
それをまた、繰り返すというのか。
アイゼルには理解できなかった。
ただ、旅から戻ったエリーは、確かに一回り成長していたと思う。
エリーが黙って笑っているのを見て、アイゼルはグラスを机に置いた。
「……今度は、何をする気?」
「ケントニスに渡れたらいいな、って思ってるよ」
アイゼルも聞いたことがある、錬金術の総本山だ。
イングリドやヘルミーナたちの故郷でもある。
「今、初めて聞いたわ」
「言わなかったから」
心配するかなと思って。と頬を小さく掻く。
「ダグラスといくの?」
きっとそうだろうとは知りながら、尋ねる。
エリーは幸せそうに笑った…ようにアイゼルには見えた。
「うん。ダグラスにはまた迷惑かけちゃうかもしれないけど」
「彼があなたのことをそんな風に考えるなんて、思えないわね」
いいこと? と続ける。「この間も言ったけど。二人きりになったらだめよ。油断したら……男はウォルフと一緒なんだから」
真剣に身を乗り出すアイゼルに、思わずエリーは身を引いて首を横に振る。
「まさかぁ…」
先日だって何事もなかった。
だからエリーは、ダグラスはそんなことしないよ。と笑って続ける。
「ロマージュさんについてきてもらうつもりで声もかけてあるし……もし万が一ダメでも、ルーウェンさんがいてくれるから。…アイゼルは心配しないで、ノルディスのこと頑張って。私、応援するから」
「そばにいてくれないくせに、そんな事ばかり言って」
止めても無駄だと知っているアイゼルは、ほんの僅か寂しさを滲ませて言ったが、それを振り払うように、冗談めかして笑った。
二杯目のミスティカティを淹れるエリーの横顔は迷いも不安もなくて、アイゼルは、ふと肩の力を抜く。
「そうそう。お土産はカスターニェ産のオリーブ石鹸にしてちょうだいね」
「えっ、あれ、高いんだよ!?」
慌てたエリーに、アイゼルはつんと澄ました顔で言った。
「心配料よ。…早く帰ってらっしゃいね」
少し染まった頬に気づいたエリーは。
やっぱり嬉しいなぁと、大きく笑った。
<END>
キスシーンとか、入れたいわけです。
とか言ってたくせに、今回ダグラスは脇役です。
アイゼルに愛が傾いてしまいました。
エリーがアイゼルより試験でいい成績をとると
アイゼルに嫌味を言われるイベントがあるんですが、
3年目で交友値MAXだったら嫌味も言われないだろうと…。
2012.2.24.