胸に咲く華
金と欲望が渦巻き
貧困と絶望が満ちあふれ
権力と暴力が支配する劣悪なこの世界で
今日も俺は大地に幾重もの紅い華を咲かせる
いつも勝つとは決まっていない危険なゲーム
年齢も性別も人種さえ関係ない者たちが王座を目指し
ゲームという名のショーに参加する
禁断の世界と知りつつもその怪しい扉を潜った
俺に後戻りは許されない
気まぐれな女神が怪しい微笑みを浮かべ
残忍な魔王が仕掛けるトラップ
無慈悲な悪魔と魔女が勝敗の行方を静かに見守り続ける中
俺は冷酷な死神の姿が常につきまとうフィールドで
神が投げるダイスに命を預け
生き残るため数え切れぬほどの華を手折ってゆく
この手で手折る華
この手に手折られる華
足元に咲き乱れた華が放つ錆びた匂いは
むせぶほどに香り立ち
戦うことしか知らないこの身体を
勝利するたびに渇いてゆく心を
真紅に染めてゆく
華を手折るたびに感じる
喜びにも似た狂気と痛みにも似た正気
俺はその狭間をさ迷い続けながら
ずっと探し求めていた
華を
まだ見たことの無い華を
そしてみつけた
絶望の中にあっても
何者に染まることのない美しさ
嵐の中にあっても倒れることのない強さ
けして色あせることのない輝きを放つ
無垢で清らかな華を
手にした華は
真紅に染まった俺の全てを優しく包み癒し
罪も痛みも汚れさえも洗い流しててくれる
華を愛でるたび
俺の渇いた心が潤い満たされてゆく
華を手折り続ける俺の胸に今日も
狂おしいほどまでに愛しい華が咲き誇る
アンジェリークという名の華が
４００００ヒットの記念時の、コニャコさまからのお祝いいただきものです。
裏に置かれているアンジェリーク長編『人魚の恋』に出てくるヴィク様のモノローグとして、書いてくださいました。
２００２年、３月２１日にはすでにいただいておりまして……こんなにもUPが遅くなった事をここにお詫びいたします。
『人魚の恋』は裏創作で一番好きな作品なので、イメージで詩を書いていただけてとても嬉しかったこと、イメージがぴったりだっただけに、私も思い入れ深く、どんな背景を……と悩みまくりました。
いただいた作品の、今日も、明日も、ずっと……という雰囲気から、朝焼けの風景を。
素材は、SKY LETTER さまからいただきました。リンクの部屋からどうぞ。
ありがとうございました！ コニャコさん！！
2004.04.28.UP