コニャコ さま


 バンド・オブ・ブラザース

 


一人だけ生き残ってしまったことを罪と感じ
生きることよりも死ぬことを望んでいたあのころ
ここに来るのが恐かった

死ぬことよりも生きることに臆病だったあのころ
毎夜夢見るあの光景に脅え眠ることを恐れていた

夜ごと訪れる終のこない悪夢

けして楽ではない
時には無謀とも思える任務の前に
臆することなく勇敢に誇り高く散っていった仲間たちが
口々に俺を罵り責めたてる

俺は『許してくれ』と仲間たちに詫びながら
手にしたナイフで何度も何度も胸を深く突き刺す
しかし痛みのない傷から流れ出る血が
俺の手を紅く染めるだけで死ぬことは出来ない

目が覚めると安堵よりも激しい罪悪感に襲われ
『家族よりも大切な仲間を見殺しにした俺は
生きる価値のある男なのか?』と
何度も自分自身に問いかけるが答は見つからない

許される日は永遠に来ないのだと思っていたあのころ
生きる屍だった俺を君が救ってくれた

君は俺の話を聞くと天使のような微笑みで言ってくれた
『死んでいった仲間たちは皆
俺の心がどんなに苦しみどれほど傷ついているのか
解っていると
生きることを否定することは
死んでいった仲間のことを否定することだと
そして俺を含めた全員が素晴らしい英雄なのだと』

その言葉を聞いた瞬間
俺の心に柔らかで暖かな優しい光が差し込み
初めて仲間たちに許された気がした

君の言葉は
苦難を共に乗り越えてきた
かけがえのない仲間たちと一緒に死ねず
一人生き残ったことを許せずにいた俺の心を優しく
癒してくれた

そして
生き残ったことを罪と思わず
彼らの分まで生きてみようと
彼らの救った命を惑星を護り続けようと
思わせてくれた

今でもあのころの光景を夢に見る
だがそれはあのころ見ていた終のない悪夢ではなく
俺が忘れていた仲間たちと過ごした日々の夢

目が覚めても罪悪感も恐れも感じない
ただ生きていてよかったと思うようになった

生きるのが苦痛だったあのころ
死んでいった仲間たちから
責めさいなまれている気がして
ここに来ることが恐かった

だが彼女と出会い生きることを望み
彼女と共に未来を歩むことを願った
いま
ここに来ることが出来た

家族よりも強い絆で結ばれた仲間たちの墓標の前に



** コニャコさまからのコメント **

今回のはヴィクトールのモノローグです。
過去に捕らわれていたヴィクトールがコレットと
出会ったことで、生きる意味を見つけるまでの心情を
書いたのですが、読み直すとかなり痛くて重い物になってしまいました。

タイトルの『バンド・オブ・ブラザース』は同名の戦争モノ海外ドラマからつけました。
私はこのドラマを全話見終わった時、何故ヴィクトールが
仲間や部下の死にあれほどまで自分を責めたのかが
よ〜く解り、これを書くならタイトルは絶対『バンド〜』にしようと心に決めました。


** 蒼太からのお礼の言葉 **
ステキなポエムをいただきました。
冒頭から後半への心境の変化が陣割としていてすごいですね。
本当に、詩を書ける人というのは尊敬です。
バンド・オブ・ブラザーズ はまだ見ていないのですが、
かなり考えさせられる映画らしいですね。
見てみたいです。

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