オマケ ルヴァの受難      カプサイシン様 


 



ポカポカと暖かい日差しを浴びて、私たちは堤防を並んで歩いていました
風がロザリアの海の青より美しい髪を揺らして通り過ぎます。
 今日の彼女は白いワンピース。 足元がローファーなのは・・・少しは運転するつもりなんでしょうか? でも、車を買い換えたばかりですし・・・ 今日一日はロザリアに助手席に座ってもらいます。
「え〜いい天気ですね〜」
 ああっ!どうして私はもう少し気の効いた話が出来ないんでしょうね〜
「ええ、本当に・・・」
 ロザリアが答えて私の腕にするりと自分の腕をからませます。 言葉は・・・必要ありませんでしたか・・・ ・・・クスッ ロザリアが小さく笑います。
「…・・・?」
私が不思議そうな顔で見つめているのに気がついたのでしょう
「思い出してしまいましたの」
「あ〜『何を』ですか?」
「アンジェ・・・陛下との、たわいもないお喋りですわ」
「…差し支えなかったら、教えてください」
 話の中身なんて何でもいいんです。 こうして、あなたの声をすぐ近くで聞いているのは、とても心地いい時間なんですから・・・
「好きになった男性とドライブするなら・・・最初はそんな話でしたわ」
 なんとも、女の子が好きそうな話題ですねぇ・・・
「陛下は『絶対、助手席がいい』っておっしゃって・・・」
 あぁ、陛下らしいような気がします。
「わたくしは、時々は自分でも運転したいと…」
 それも、貴女らしいですねぇ…
「それから、二人で『聖地にいる間は絶対無理ね』って笑い出しましたの」
 そうでしたね…従来どおりに閉鎖されたままの聖地だったら…
「でも、わたくしはこうしてルヴァとここにいますわ」
 …あ、貴女方は…とんでもない事をしますね。
「もうすぐ陛下の夢も叶いそうですの」
「ええっ!だって陛下のお相手は…」
 …クラヴィス…だったはず…ですよねぇ…
「わたくしと同じ頃にクラヴィスも同じ教習所に入って…」
 …ク、クラヴィスが教習所通い…
「『…シートが…狭い…』って言ってましたわ」
 そりゃぁ…狭いでしょうねぇ…
「それで一度、仮免検定に落ちましたの」 
 …おやおや…
「すごい目で教官を睨みつけて…」
 あ、その教官に心から同情します…
「その教官も震えながら『不合格は不合格です』って」
 よく頑張りましたねぇ…その人は教官の鏡ですよ〜
「クラヴィスは『…なかなか、厳しい物だな…』って苦笑いされてましたわ」
 彼には…かえって新鮮だったのかもしれませんねぇ…試験とか競争とかに無縁の生活でしたからねぇ
「彼の担当になった教官が次々と倒れてしまいましたのよ」
 …原因は…胃潰瘍じゃないでしょうかねぇ…ストレス性の…
「わたくしより二ヶ月ほど遅くなってしまいましたけど、クラヴィスも運転免許が取れたようですの」
 …一体、何人ぐらい教官が倒れたんでしょうね…考えると恐ろしいような気がします。
「花束を教習所から『…貰った…』ですって」
 きっと、その日は教官一同で祝杯を上げてますよ…
「陛下からルヴァに伝言があるの」
 陛下から…私に?……今、背筋を走った悪寒はなんでしょうね
「『お願いね』」
「…ふぇ!」
 も、も、も、もしかして…
「陛下はルヴァにクラヴィスの運転指導をご所望です」
 あ…ああ…ああぁぁぁぁ…やっぱり…
「す、すみません。ロザリア…なんだか急に眩暈が…」
「まぁ、大変!帰りはわたくしが運転いたしますわ」
 …は…ぁ…なんだか手足に鉛が詰まったようです。

 

 どうやら…車はもう一度買い替えが必要になりそうです。

 


嬉しいオマケ付きですね。
ウチでは珍しいクラリモですが、蒼太は結構好きです。
クラヴィス様担当の教官たちは、きっとあの微笑で胃に穴を…(T_T)…。
そして次はルヴァ様の胃がロザリアとクラヴィス様のダブル攻撃によって…げふげふん!(笑)
有難うございました、カプ様!
*このお話の著作権はカプサイシン様にあります。
頂き日→2001.10.29

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