02.CAT'S 1 東の野原


 

CAT'S
〜 東の野原編 〜
 レイチェル猫は、その日も近所の塀の上を軽いステップで歩いていた。
 塀の上を通るこの『壁道』は、彼女のお気に入りの道。
「ふん、ふふふん♪」
 今日はどこへ行こうか。従兄弟のジュリアス猫をからかいに行こうか。それとも近所のメル猫とじゃれようか。
 そんなことを考えながら楽しげに鼻歌を歌い歩いていたそのとき。彼女の視界の隅…電柱のすぐ傍を蒼い影が横切った。
 レイチェル猫は思わず立ち止まってそっちをみた。
 と、その影はするりと電柱の向こうへ姿を消し、角を曲がり…そして気配が無くなった。
── また、アイツ?
 レイチェル猫はその後姿を見送ると、今まで以上に胸を逸らして歩き出した。
 なんだか最近良く見かけるあの猫に、レイチェル猫は良い印象を持っていなかった。
 それは、彼がレイチェル猫のファンクラブに入ろうとしなかったからだ。
 レイチェル猫は生後大体半年強。ピッチピチのギャル(死語)である。
 ファンクラブ会長のランディ猫が言う事には、
「ファンクラブ? なんですかそれは?]
 (ランディ猫のつたないながらも情熱的な説明)
「…なるほど。わかりました。しかし…生憎私はそのような事に時間を裂いている暇が無いのです。…申し訳無いがこれで失礼。」
 と、こんな調子であったそうな。
── くやし〜い!
 レイチェル猫がそう思ったのも無理はない。

 彼女の後足は白くてすんなり長く。
 彼女の瞳は金色で、くるくる動いてとても魅力的。
── こんなに可愛い猫、近所じゃワタシ以外に居ないのに!
「………。」
 レイチェル猫は、ふと足を止めた。
 なにやら、考えている様子。
 そして、彼女はジュリアス猫の家に向かう壁道から飛び降りて、今度は駅前のたこ焼き屋「チャーさん」へ行くための壁道に乗りかえた。

 

「チャーさん」は人間世界で大層繁盛しているたこ焼き屋である。
 レイチェル猫は、店の前で行列を作るお客に気付かれないように、そして陽気にたこ焼きを焼く緑の髪のご主人に見つからないように、たこ焼き屋の裏にある、玄関を潜った。
 と、その気配をいち早く察してか、チャーさんの家猫「チャーリー」が縁側で寝そべったまま振り返った。
「やっほー! 元気してた?」
「元気やで〜。今日はどないしたん?」
 チャーリー猫は、ご主人の影響で変な言葉を喋るのだ。
「実は教えて欲しいことがあるんだケド。」
 レイチェル猫は縁側に飛び乗って、チャーリー猫の顔を覗き込んだ。
「なんや〜? あんさんがそないな用件で来はるなんて、めずらしな〜? …情報料はピンキリやで〜。」
 チャーリー猫は、褐色の瞳を悪戯げに輝かせ、起き上がった。何を隠そうこのチャーリー猫は、この辺では有名な情報屋なのである。
「ん〜。今すぐは無理だけど、今度の日曜来てくれたら、ウチのご飯をわけてあげるヨ。」
 チャーリー猫はそれを聞くと、ちょっとだけ考え込んだ。そして、にこりと笑って言った。
「あんさんのトコの日曜のオカズは、たしか決まって生魚やったな。…よっしゃ、それで手を打ちまひょ。…で、知りい事は何や?」
 レイチェル猫は頷いた。
「なんだか最近気になる奴が居てサ。蒼い毛並みで瞳は薄い翠。すっごく薄い翠よ? …で、なんだかいつも一匹で歩いているんだけど…。そいつの名前が知りたいの。」
 流石のチャーリー猫も、ちょっと困った顔をした。
「それだけでっか? 手がかりは。…うーん。」
「他には…そう。ワタシのファンクラブに誘ったのに、入らなかった!」
 ちょっと怒った様子でレイチェル猫はそう言った。
「分かったで!」
チャーリー猫は言った。「そいつは『研究猫のエルンスト』やな。」
「研究猫?」
 レイチェルは思わず尋ね返した。
「そや。家猫や無いから苗字はあらへん。けど野良にはそのかわり特徴とってアダナがつくことは知っとるやろ? あの猫はんは研究以外にはなーんも興味持ってへんのや。あんさんが怒るのも無理あらへんけど、ヤナ奴ちゃうし、堪忍したってや。」
チャーリー猫はそこで一旦言葉を切ったが、日曜のおかずとその情報がつりあわないと思ったのか、更に続けた。
「最近は東の野原で星の観測をしとるらしいな。あんさんは一匹の所しか見た事あらへんかもしれんけど、ホンマは一杯手下がおるんやで〜。」
「…ふーん。」
 チャーリー猫がそう言うなら…とレイチェルは思った。その研究猫のエルンストとやらは、大した猫物なのかもしれない。
「これでええか?」
「うん。ありがとね!」
レイチェル猫は尻尾を軽く立てた「じゃ、ワタシはもう行くよ! また今度の日曜ね!」
「まいどあり〜。」

 

 レイチェル猫はチャーリー猫に聞いた話しをゆっくり考えながら歩いていた。
── なーんか。気になっちゃうな。
 夕暮れの光が街に下りる。
 商店街はもう夕食の音と匂いの中。レイチェル猫はその通りをぬけて、東の野原に向かった。

 

 レイチェル猫は、薄暗くなった野原こっそりと潜んだ。彼女の瞳は興味に輝いて居たが、その行動はあくまでも慎重。
 やがて、三々五々猫たちが集まり始める。
── これがチャーリー猫の言ってた手下? スッゴーイ! ワタシのファンクラブより一杯いるよ?
 そして、レイチェル猫が見守る中更にしばらく。
 三日月の光の下、研究猫のエルンストが現れた。野良にしては整えた毛並みと程よい体型。
 何を始めるのかと見ていると、何時の間にか出来たグループそれぞれが、エルンスト猫に報告をし始めた。
「エルンストさん。私が見ていたところ、あの黄色い星は見晴らしの木の枝の左3番目から右2番目にぬけましたよ。」
「エルンストさん。夕べ確認した落ち星の事ですが…。」
 エルンストさん…エルンストさん…エルンストさん…。
── ふーん。頼りにされてんだ〜。
 レイチェル猫は、感心してそれを眺めていた。
 と、そのとき。
「骨董屋のルヴァ猫がいらっしゃいましたよ。」
 手下の一人が彼女の前をとおりながら、言った。
 彼の後ろにくすんだ緑色の猫が(若いくせに)よぼよぼと着いていく。レイチェル猫も彼の事は知っていた。骨董屋の軒先に住んでいる半野良の『学者猫のルヴァ』だ。おっとりしているが猫世界のことには酷く詳しいと評判の猫である。
── ルヴァ猫とも仲がいいのネ。
 草の影からこっそりと、レイチェル猫は成り行きをうかがう。
「これは良い所へいらっしゃいましたルヴァ猫。…これを見ていただけませんか?」
「はいはい。…ええと〜。これですか〜噂の「落ちてきた星」っていうのは。」
 レイチェル猫はその聞きなれない言葉に、思わず身を乗り出した。
「ええ。昨日この野原の真中に。」
 キラキラ光るその球体は。
 淡い翠。そして透明な蒼。夢のように綺麗だった。
「一昨日の夜には影も形も無く、今日の昼間発見されたのです。昨日の晩協議を重ねた所、我々は、これが噂の「落ち星」ではないかと。」
「ふーん…。初めて見るものですね〜。…ちょっと舐めてみても大丈夫ですかね〜?」
「どうでしょうか?」
 エルンスト猫の言葉が終わるか終わらないかの内に、ルヴァ猫の舌はそれをぺろりと舐めていた。
「あ…。」
 驚いたように口をあけたエルンスト猫だったが、ルヴァ猫のする事だからと、動揺を抑える。
「うーん…。…なんの味もしませんね〜。匂いも…。」
 くんくんと小さな鼻をうごめかすルヴァ猫に、エルンストは尋ねた。
「落ち星ではないのですか?」
「ええ〜。落ち星…では、ないようですね〜。私が骨董屋の主人に見せていただいたのは、写真でしたけれど、もっとこう…味気の無いものでしたよ〜。」
「それも、舐めたのですか?」
 エルンスト猫は真面目に聞いて。
「いえ、ちがいます。」
ルヴァ猫は真面目に答えた。「ごつごつして黒っぽくて、単なる石のようなものだったと言うことです。」
「ほほう、なるほど。…では、これはなんでしょう?」
 レイチェル猫は、そこで黙っていられなくなった。
「ワタシそれ知ってるよ!」
 突然草叢から現れた雌猫に、そこにいた誰もが驚いて振り返った。
「あなたは…。」
 エルンスト猫がレイチェル猫を見た。「たしか…レイチェル猫、ですね。」
「そう。レイチェル・ハート。」
 家猫の名に、辺りがどよめく。どうやらこの野原に家猫はレイチェル一匹のようだった。思わず竦んだレイチェル猫に、エルンスト猫が歩み寄る。
「これがなんなのか、ご存知なのですね。」
 問われて、レイチェル猫は気を取り直す。
「そ、そう…。知ってるよ。それはね、『ビー玉』っていうんだよ。人間の子供がそれで遊んだり、大人が集めて楽しんだりするんだよ。綺麗だから。」
「なるほど〜。それでは私たちには分からないのも当然ですね〜。」
 ルヴァ猫は感心したように言った。
 ところが、周りの猫から突然声が上がった。
「そんなの、嘘に決まってる!」
「そうだ! 家猫だから、俺達の知らない言葉で誤魔化そうとしてるんだ!」
「それは絶対落ち星だよ。そんなに綺麗で、そんなに光ってるんだもの。」
 レイチェル猫は、思わず一歩下がった。
── ワタシ嘘なんかついてないヨ…。嘘なんて…。
 と、その時。
 エルンスト猫の耳がきっと立ち上がり。そして背中の蒼い毛が僅かに膨らんだ。
「なぜ、確証も無くそのようなことを言うのですか。こちらのお嬢さんが嘘をついたという証拠はあるのですか?」
「え、エルンスト…。」
 ルヴァ猫がおろおろと彼の傍に寄った。
「だ、だって…。」
 言いよどむ一匹にエルンスト猫は更に詰め寄る。
「特に…落ち星ではない、と言うことは、もうこのルヴァ猫が語ってくれました。今の一言は、ルヴァ猫を信頼している私への侮辱でもありますよ。」
 レイチェル猫は、彼の後ろにかばわれながら、胸が早鐘のように走るのを感じた。
── どうして? …この猫たちはみんな、エルンスト猫の手下じゃないの?
 なのにこの殺伐とした雰囲気。とてもそうとは思えない。そしてそれを作り出してしまったのが自分だと気付いて、レイチェル猫は怯えた。
 と、その時だった。
「なんだなんだ? 大の大人が揃いもそろってこんな素敵なレディの前で口喧嘩か?」
 良く響く若い雄の声がして、みんなは野原の入り口にさっと目をやった。
 注目されたその赤毛の猫は、そんな視線をものともせずにエルンストの傍に歩み寄った。
 それから、まるで今初めて彼女に気付いたかとでもいうように、レイチェル猫をまじまじと見た。
「…これはこれは。近くで見ると、遠くで見ていたときよりもっと素敵なお嬢さんだな。…俺の名前はオスカー。みんなは『女泣かせのオスカー猫』なんて俗な名前で呼ぶが、本当は恋に一途なだけの雄猫さ。…お嬢ちゃん、お名前は?」
「レイチェル…」
ハート。と言いかけて、レイチェル猫は躊躇った。同じ反応が返ってくるのが怖かったのだ。
 だが、彼女の言葉をエルンスト猫が継いだ。
「レイチェル・ハートというそうです。…なかなか興味深いお嬢さんですよ。」
「ほう…。宜しくなお嬢ちゃん。」
オスカー猫は変わらず彼女に笑いかけた。「お嬢ちゃんのような女性に出会えて嬉しいよ。その金の瞳、その艶やかな毛並み…どれをとっても一級品だ。こんな彼女を前にして口喧嘩の余裕があるなんて…全く信じられないな。」
 流れるような彼の言葉に、まわりの猫たちからは「また始まった…。」というような雰囲気が流れ出す。
「俺だったらそのエネルギーを全て、彼女を口説くのに使うぜ。そう例えば…。」
「もういいですよ、オスカー。」
 エルンスト猫が、尻尾の先で彼を制した。
「みんな散ってしまいましたよー。有難うございました〜。」
 ルヴァ猫が面白げに言う。
 そこで初めてレイチェル猫は彼の言葉がお芝居の内だったと知った。
 オスカーは、にやりと笑って尻尾を立てた。
「ところでオスカー。あなたがここまで出向いてくるとは珍しいですね。」
 と、エルンスト。
「昨夜の定期猫集会でまとめ役のヴィクトール猫に会ったんだ。『落ち星』が野原に落ちたって聞いたんだが…。青くて緑で…なんでも随分綺麗だとか。」
 ルヴァ猫が頷いた。
「あ〜。これのことですね〜。確かにありますよ〜。」
 そういって足もとの、踏みしだかれた草の上を鼻先で指し示した。
 オスカー猫は、しかしそれを見た瞬間に言った。
「なんだ。ビー玉じゃないか。」
 オスカー猫もルヴァ猫と同じく半野良だったが、ルヴァ猫より家猫にちかい、婚礼衣装を扱う洋品店の軒を借りる猫だった。
「やはりそうなのですか…。」
 エルンストの残念そうな声が上がる。
「ナニヨ!? 信じてなかったの?」
 レイチェル猫は憤慨して叫んだ。
 エルンスト猫が慌てて首を振る。
「いえ…。そんな理由ではなく…やはり私も少しは、これが『落ち星』であったらと…そうおもっていたのです。」
「残念でしたね。」
 ルヴァ猫がエルンスト猫の方を見て言った。
「願いが叶う、っていうからな。」
 オスカー猫が、にやりと笑ってそう言った。
 レイチェル猫の耳がツンと立つ。
「なに? 願いが叶うって?」
「いえ〜。人間の言い伝えなのですけれど…『落ち星』を前にして願い事を三回言うと、その願いが叶うらしいのです〜。」
「ただし、一匹につき、一回までなのだそうですが。」
 エルンスト猫がもう1度溜息をつきながら、そういった。
 レイチェル猫はそんな彼の様子に心惹かれる。
「ねえ…アナタは何をお願いしたかったの?」
 そう、エルンスト猫に尋ねた。
 すると。
 彼は、少しだけ言い淀んで、それから小さく言った。
「…その…。共に研究を進めて行くことができる…知識を持ったパートナーを。」
「なんだ。早く言えば伴侶が欲しいってことか?」
 オスカー猫がからかう様に言った。
 レイチェル猫の胸が、その言葉に何故かとくんと反応を示した。
 エルンスト猫が、慌てて言葉をたす。
「いいえ! 特に女性と言うわけではありませんよ!」
そして、声を更に潜めた。「その…今の仲間はとても素晴らしいのですが…。先ほどの事を見ていただければ分かるように、彼らは少し頭が堅いのですよ…。」
「あ〜。あなたにそう言われるとは、かないませんね〜。」
 ルヴァ猫がくっくと笑う。
「笑い事ではないのですよ! …切実なのです。私には知りたい事が沢山ある。それこそ、あの見晴らしの木の葉一枚にひとつ、と言う位に沢山。…なのに私は…一匹なのです…。」
「ルヴァ猫がいるじゃないか。」
 オスカー猫が、なんだそんなこと、と言うように言った。
「ああ〜。私はどっちかというと、既にある物事を知るのが好きで〜。新しいことを付き止める気力はないのですよ〜。」
 ルヴァ猫がそう言った。
「なるほどな。上手くいかないものだ。」
 レイチェル猫は、その会話をずっと聞いていた。
 そして、思った。
── 家猫の私なら、このビー玉のように、彼の知らかった事、沢山教えてあげられるんじゃないかな。
── 野良猫のエルンストなら、私が知らなかった事、沢山教えてくれるんじゃないかな。
「じゃあ、ワタシにしなよ。」
 気付いたときには、レイチェル猫はそう言っていた。
「え?」
 エルンスト猫が振り返る。
 レイチェル猫はじれったそうに言葉を紡いだ。
「ワタシ、アナタのこと気に入ったの。だから、一緒にいろんな研究してあげる!」
「してあげる…って…。いいですかレイチェル。そんなに簡単なことではないのですよ。」
 エルンスト猫が薄い翠の瞳を困ったように揺らした。
「いいんじゃないですか〜?」
ルヴァ猫が、ゆっくりとした調子で口を挟んだ。「レイチェル猫は、一人でここまでやってきて、あの草叢でじっとみんなを見ていたのでしょう? …とても好奇心旺盛で、なおかつ勇気もある。…研究のパートナーとしては向いていると思いますが…。」
「そうだな、いいんじゃないか。」
「オスカー。そんな無責任な…。」
 急な話の展開に、エルンストは慌てる。
「じゃあ、決まりだネ!」
 レイチェル猫が、にっこり笑ってそう言った。
「勝手に決めないでください!」
 思わず叫ぶエルンスト猫に、オスカー猫は小さく小刻みに尻尾の先を動かした。
「ち、ち、ち。…知ってるだろうエルンスト。我々猫社会では、『女性が常に上』なんだぜ? …特に、今の時期はな!」
「あ…。」
 エルンスト猫は、はっと息を呑んだ。
「彼女が一声鳴けば、お前は逆らえないんだエルンスト。…あと、一月もすれば。」
「あ〜。そうですね。もうあと一月あるかなしですよね〜。」
 ルヴァ猫がなぜか感慨深げに頷く。
 そして、足もとのビー玉を、なにげな〜く、口に咥えた。
「ふぉれでは(それでは)、私はふぉれれおひとまひまひゅよ〜(私はこれでお暇しますよ〜)。ようひをおもひらひたのれ〜(用事を思い出したので〜)。」
「おっと! 俺もちょっと行かなきゃならないんだ。…俺のお嬢ちゃん達が、『落ち星』の事を気にかけていたからな。」
「ちょ、ちょっと! 何なんですか急に!」
 エルンスト猫が慌てたように二人を追う。
「野暮はしないって事だ。…二人で星を眺めて…いや。観察でもして、話し合うのが一番いいと俺は思うぜ。…じゃあな!」
「ひゃようにゃら〜(さようなら〜)。」
 一方。
 まだ恋の季節を知らないレイチェル猫は。きょとんとした顔で二人を見送り、そして言った。
「ねえ、なんでそんなに慌ててるノ? あと一月ってナニ?」
 エルンストは、耳を思いきり後に倒した。
「あなたはまだ知らなくっていいんです! 子猫なんですから!」
「ええ〜? 知りたいよ、教えてヨ〜。」
「いいんですったら!」
「でも…。」
「絶対教えません!」

 

 

そして。
東の野原の中天に月が昇るまで。
二人の押し問答は続いたのであった。

<END>


CAT'S レイ×エル編でございました。
言わずともお分かりかもしれませんが、あと三作続きます。
どんな順番でくるかは…お楽しみ。
ではまた!
蒼太

2001.07.03


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