15.見晴らしの木

  

「こっちだよー、早く早く〜!!」
 晴れ渡った空の下に、良く通る少年の声が響いた。
 ゼフェルはそちらに手を振ると、多少苛立ったような表情で顔を巡らせた。
「遅っせーんだよ! 早く走れ!」
 振り返った視線の先には、二人の少女が息を切らせた様子で立ち止まっている。
 ここは、聖地の東。
 通称、見晴らしの丘と呼ばれる場所だった。
「ちょっと…、早い…、わよ…!」
 金の髪の少女が、膝に手を当て半身を折った姿勢のまま、鋼の守護聖を見上げてそう言った。
「けっ、なんだよ。走るの得意だって自慢げに言ってたくせに。」
「ワタシが得意なのは、短距離なの!」
「へーえ。」
 全く信じていない様子のゼフェルに、レイチェルは憤慨したように言う
「なによ! ちょっとアンジェリーク、言ってやってよ。ホントなんだからネ!」
「はぁ、…んっ…、うん。」
息を切らせたまま、アンジェリークは頷いてそれから丘の上に視線を走らせた。「あの…皆さん待ってらっしゃるみたいです…。」
 アンジェリークの言葉に、二人は踵を返して上を見た。
 丘の頂上に聳えるのは『見晴らしの木』。
 丘を半分覆うか、と思われるほどの大木が、森の湖から吹き上げてくる涼風に枝を揺らしている。そして、その根元に数人が立ちこちらを見ている。
「はーやーくーってば〜!」
 飛び跳ねるように手を振るのは、占い師のメル。
 その隣で佇んでいるのが、協力者のティムカ。
 そして更に、緑の守護聖マルセルと、風の守護聖ランディが、3人の到着を待っていた。
「今行くー!」
 ゼフェルは皆に手を降り返し、改めて二人の女王候補を見た。
「ほら、行こうぜ…ったく、どうして女ってのはこう何してもトロトロしてんのかね?」
「トロトロしてるですって!?」
「いっ、行きましょうか!」
また口喧嘩が始まりそうになるのを慌てて止めて、アンジェリークは丘の頂上を指さす。「ほら! 皆さんもうバスケットを開け始めていますよ。早く行かないと、全部食べられちゃいますよ。」
 まるで子供をせかすように、アンジェリークは言った。
 見晴らしの木の下では、ティムカが持ってきた大きな敷物を、マルセルとメルが広げている所だった。その隣でランディがバスケットを持って待っている。
 バスケットの中には、今朝早く寮のシェフが作ってくれたお弁当がぎっしりと詰まっている。バケットサンドにスコーン、冷やしトマトにチーズ。それから洋ナシのタルト。
 初めはアンジェリークとレイチェルが交代で持っていたものだったが、それに気付いた緑の守護聖があっさりと引きうけてくれたのだ。最もその後は皆がかわるがわるに持ってくれたのだが。…もちろんメルも非力ながら。
 腹ただしげな様子のまま歩き出すレイチェルに続いて、アンジェリークは思わず微笑む。なんだかんだ言ってそれでもゼフェルと良く話をするのはレイチェルであったし、アンジェリークはそんな気の置けない関係の二人の様子を見るのが楽しかった。
 今日は水の曜日。
 ジュリアス様達には内緒にしよう! と誰がいいだしたかは忘れたが、年若いものだけでこうしてピクニックめいた事をすると決まったのがしばらく前の事。あれよあれよと言ううちに目的地が決まり、時間が決まった。
 皆は今朝、図書館前で待ち合わせてここへやってきた。
 途中で林の中を流れる小川で遊んだり、花を摘んだりして、もう時刻は正午に近い。
 さっさと先を行ってしまったゼフェルに遅れ、見かけよりも少し急な勾配をそれでも二人は漸く丘を上りきった。
「「着いた〜!」」
 見晴らしの木の幹に抱きつくようにして止まり、ホッと息をつく。
「疲れた?」
 二人を出迎えるように、ランディが言った。
「ううん。キモチイイくらいだったよ。ね、アンジェリーク?」
「うん!」
 日頃の内気さも影を潜めたように、アンジェリークはレイチェルの言葉に活き活きとした調子で答えた。
「ほら、見て!」
 マルセルが二人の後ろを指差した。
「わあ…。」
 降り返るとそこには見渡す限りの青い空と、それから聖地の隅々が見渡せた。
「あ、あれ見てヨ! あれって女王候補寮じゃナイ?」
レイチェルが指差す先には、サンホールがしつらえたれた赤い屋根の建物。「だとすると…あ、あれが図書館!…あ、あっちが宮殿だネ!」
 宮殿は相変わらず陽光に白く煌いて、まぶしいほどだ。
「学芸館も見えますよ。」
と、後ろから声を掛けてきたのは、ティムカ。彼も常日ごろ体験した事のないような、このちょっとした遠出に、目を輝かせている。「ほら…図書館の向こうにちらっと見える、あの緑の屋根…ね?」
 言われて目を凝らすと確かに、林の向こう、図書館の影に見えるのは、煉瓦で建てられた学芸館の影。
「なんだか不思議です…。」
ぽつり、とティムカが言った。「僕は今、本当に聖地に来ているんですね…。」
 それは二人の女王候補に付いても言えることだった。二人はそれぞれに眼下に広がる聖地の風景に見入っていた。
 あまりの天気の良さに、聖地は春霞に覆われ、遠く西の崖のあたりは良く見えなかったが、その広さには改めておどろかされる。
 かつて、自分達もそんな思いに駆られた事があった、と彼らを横目に見ながらマルセルとランディは目を見交わす。
「………。」
 つい思いにふけってしまった、そんな時。
「ねえ! 手伝って!?」
 陽気な声が後ろから響いて、皆は振り返った。そこには、バスケットの中身を早くも敷物の上に次から次へと出そうとしている、メルとゼフェルの姿があった。
「ぐずぐずしてねーで、メシにしよーゼ、メシ!」
 なんの迷いも無くそういって、皆を手招く。
 ランディは、そんな彼らの姿に肩をすくめた。
「もう。…ちょっとは状況をわかれよな。」
「なにが状況だよ。そんな見なれた風景じゃ、腹の足しにはならねー。」
ちっ、と舌を鳴らしてゼフェルは言った。そして全員を見て尋ねる。「腹、へってるだろ?」
 それは勿論そうだった。朝早くから歩きづめ、そのうえ笑ったり走ったり、それで空腹でないほうがおかしい。
 マルセルはにっこりと微笑んだ。
「そうだね! 言われてみれば、僕もうお腹ペコペコだよ。」
「それはそうね〜。じゃ、お昼にしましょうヨ。」
 レイチェルは言うが早いかゼフェル達を手伝い始めた。アンジェリークもそれを見て慌てて彼女の傍らに寄る。
「手伝うよ。」
 と、ランディ。
「あの…僕は何をすれば?」
 と、ティムカ。
「じゃあ、これを皆に注いでくれる?」
マルセルは、バスケットの脇においてあった小さなポットを二人に差し出した。中身は彼の庭で採れたハーブで作られたハーブティ。
 言われた通りに注ぎ終わる頃には、アンジェリーク達の手によって、敷物の上に豪華なお弁当が広げられていた。
「わー、美味しそう!」
 と、メルは身を乗り出した。そして、みんなが腰を落ち着けると。
「じゃあ…。頂こうか?」
マルセルは皆を見まわした。
「いっただっきまーす!!」
 皆は一斉に手を伸ばした。
「これぴりっとしてて美味い! …なんだ?黒胡椒が入ってるのか。」
 と、ゼフェル。
「これも美味しいよ。ふわふわしてて…うん、蜂蜜をつけるともっと美味しいね。」
 と、マルセル。
「…これはなんですか? 食べた事ない味ですよ…。」
 と、ティムカ。
「うーん、女王候補寮のシェフの味も、宮殿のシェフに負けないね。」
 と、ランディ。
 皆それぞれ、舌鼓を打つ。マルセルのハーブティもまた、絶品だった。

 

 それから、しばし。
 皆はお腹いっぱいになり、各々思うように散らばって、マルセルの奏でる笛に聞き入っていた。
 森の泉から吹きあがってくる涼風が丘を渡る。そのたびに丘を覆う柔らかい草が、まるで海のように凪いだ。
 その風に笛の音が遠く遠く流れて、そして見晴らしの木の葉の擦れる音が、それに続く。さわさわと、空気が揺れている。
 アンジェリークは、小岩に背を持たせかけ、そっと瞼を下ろした。
 マルセルの笛の音は、歌うように囁くように続く。
 誰もなにも言わない。
 うとうとと眠り始めてしまうもの。なにかを思い出しているもの。自分の内心を探っているもの。それぞれであった。
 敷物の上に寝転がり、笛の音に半分目を閉じていたゼフェルは、寝返りを打ちながらふと目を開けた。
 木漏れ日に、まどろむような午後。
 その視線の先に、アンジェリークの姿が映る。
 まろやかな頬。伏せられた長い睫毛。風になびく柔らかな栗色の髪。
── 綺麗、だよな。
 ゼフェルは薄らと思った。
 そう言えば、図書館で出会ったあのときも、たしかこんな気持ちになった。
 もどかしいような、切ないような。
 初恋。
 これがそうだったのだとは、もっとずっと後で気付いた。
 だが、今はしかし。
 ゼフェルは笛の音に誘われて、また目を閉じただけだった。

 

「よーし!」
 ランディは見晴らしの木の幹の前に立って、上を見上げた。
 一つ目の枝までには、少々高さがある。
 それに届きさえすれば、後は密集する枝を伝って天辺まででも登る事が出来るのだ。
 たとえ、女の子でも。
「ランディ、頑張って!」
 とマルセルの声が飛ぶ。
 今日、ここにきた最大の目的。それは、見晴らしの木に登る事、であった。
「任せておけって。」
 ランディは木の幹に取りついた。
 まず初めに彼が登って、それから皆を引き上げる事に決まり、随分と張り切っている。木のぼりが得意なのはマルセルだが、彼ではほかのみなを引き上げることができないからだ。
「無理しないで下さいね。」
 木登りなどした事のないティムカが、身軽に登って行くランディをはらはらと見上げながら言った。
「大丈夫、大丈夫。」
 その言葉のとおり、彼はあっという間に一つ目の枝に登りきっていた。
「わあ、ランディ様すごいネ〜。」
レイチェルは感心したように言って、アンジェリークを振り返った。「ねえ、ホントにアナタ、登るつもりなの?」
 アンジェリークは軽く頷いた。
「うん。だって約束したもの。」
 図書館での、マルセルとゼフェルの誘いが、ここに来て実現する事になったのだ。アンジェリークは木登りをした事はなかったが、高いところが苦手と言うわけではないので、あまり気負ってはいなかった。
「…ダイジョウブなの? アナタの運動神経で登れるとは思えないけど。」
 それに大体、とレイチェルは思った。そんな短いスカートでは…。
 しかし、栗色の髪の女王候補の気持ちは変わりそうになかったので、バスケットを覆っていた布を彼女に渡す。
「これを腰に巻いて…そうそう。これだったらダイジョウブかな。」
 そんな事は思っても見なかったアンジェリークは、彼女に礼を言って、それからマルセルの言う通りに足を幹に掛けた。
「気をつけろよ。」
流石のゼフェルも心配そうにアンジェリークに言った。彼女は案外平気そうに頷いて、そのまま身体を持ち上げる。
 見晴らしの木の幹は、森からの風にあおられ続けたせいで、木全体が南へと傾いている。少し勾配のついた幹は、アンジェリークにも登りやすくなっていた。
「よ…いっしょっと。」
 多少危なげながらも、ランディとマルセルの手を借りて、一つ目の枝に登りきった。
「スゴーい、アンジェリーク!」
メルの感嘆の声がしたから聞こえた。「メルも登る、登る〜!」
 手足をばたばたさせて、マルセルにねだるメルに、ゼフェルは言った。
「落ちてくるなよ。受け止めねーからな。」
「平気だよ! メルだって木登り得意だもん!」
 言うが早いか、メルはマルセルに手伝ってもらいながらも、すいすいとアンジェリークとランディの待つ枝まで登って行った。
「じゃあ、今度は僕ですね。」
 多少浮ついた様子で、ティムカが言う。もちろん木登りもしたことがない。慎重に、けれど持ち前の運動神経を生かして、割と簡単にメルと同じく木の上へ。
 ゼフェルがレイチェルを振り返った。
「オメーは登らねーのか?」
 その言葉に、滅相もないという風に、レイチェルは首を振った。
「ワタシは…。」
 言いかけたところに、からかうような調子でゼフェルは言う。
「ははーん、登れないんだろ。」
 その言葉にレイチェルはむっとして、
「ヘイキだよ! 見てなさいよ。これでも小さいころは近所の誰にも負けなかったんだから!」
 そう言って、もうひとつのバスケットに掛けてあった布を腰に巻くと、幹に足を掛ける。そしてその言葉どおり、マルセルの手も借りず、猫のようにするりと登りきってしまった。
 ゼフェルはそれを見て、思わず小さく口笛を吹いた。
「…やるじゃん。」
「ゼフェル、僕達も行こうよ。」
 言うと、マルセルは既に次の枝に登り始めているランディたちの後を追って、するりと木の幹に取り付いた。やはり彼が一番得意とするものであるだけあって、あっという間に葉陰に消えていった。
 その、直後だった。
「ひゃぁっ。」
 メルの、小さく叫ぶ声が聞こえて。
「メルさんっ!」
 アンジェリークの、悲鳴が聞こえた。
 今まさに幹を登ろうとしていたゼフェルは、その声に顔を上げる。そして、その状況に思わず青ざめた。
「お、…おい…。」
 下から数えて4本目辺りの枝の上…。アンジェリークが腹ばいになって、必死の様子で布の端を握っている。そしてその布の先につかまっているのはメル。完全に身体が宙に浮いている。
 腰を巻いていたその布をつかむアンジェリークの細い指先は、力を込めすぎたせいで震えている。
「アンジェリーク、メル!」
 ゼフェルは叫んでその真下へ走り寄った。
「アンジェリーク、離さないで!」
 丁度その下の枝にいたマルセルが、彼らの下へ行こうと、細い枝の先を渡ろうとしている。
「莫迦、あぶねーよ、マルセル! それじゃお前が落ちる!」
 ゼフェルは言って、マルセルを牽制した。
 下の騒ぎを聞きつけて、慌てて降りようとしているのはランディ。
「待ってて! すぐに行くから!」
 アンジェリークと同じ枝に降り、布をいっしょに引き上げようとするランディだったが、すでに枝は二人分の過重で撓み、その上さらにランディが乗るには細すぎた。
「アンジェリーク…」
 レイチェルはマルセルの後ろから、ただ眺めている事しか出来なかった。
 アンジェリークの力では、メルを持ち上げる事も出来ないし、これ以上支えている事も出来ないだろう。
「メルさん、布を伝って…、登れますか?」
 ティムカが言った。そう、それしかないのだ。
 メルは青ざめた顔をみんなに向けて、それから小さく頷いた。下から数えてすぐの枝とはいえ、もう地面までは5メートル弱ある。ここで落ちたらただではすまない事をメルは身をもって知っていた。
 覚悟を決めて、両手を布に掛ける。
 皆は息をのんでその一挙一動を見つめた。
 一手、また一手。
 アンジェリークは、それを気が遠くなるような思いで見つめていた。メルが落ちるとき、かろうじて布を掴めたのは片手だけ。それでメルの体重を支えていられるなど、奇跡のようなものだった。腕が痺れ、肩が抜けそうな痛みが、彼女を襲っていた。
── もう少し。
 メルの手が、アンジェリークの手に触れる、というその時だった。
 1箇所に集まった圧が、布を裂いた。
 メルの、声にならない叫び。
 アンジェリークは、とっさに身を乗り出して、彼の手を掴んだ。
「…………!」
 皆は、思わず目を閉じた。
 アンジェリークは、その後の事をまるでスローモーションに掛けた映像のように感じていた。
 落ちるメルの手を掴み、身を乗り出す。体の下から枝の感触が消えて、中に放り出され、しっかりと目を閉じた。身体を包む空気の流れ。しっかりと握り返してくるメルの手の汗ばんだ感触。
 身体を、木の枝が打つ。
── 痛いっ
 思わず心の中で叫んだ。それでも、その枝を無意識に掴もうとして、手首を返し、一瞬だけは二人の身体を支えたが、しかし反動でまた手が離れてしまう。あとは、落ちるだけだった。
 そして、どさり、と地面に叩きつけられた。…と、思った。
 薄らと目を開けたとき、そこには鋼の守護聖の眉を寄せた顔があった。
「…ってえ…。」
 ゼフェルは小さくつぶやいた。 
 アンジェリークは痛みに鞭打って、上半身を起こした。
 視界の隅で、メルも同じく身体を起こすのが分かり、一瞬ほっとしたが。
 それだけで済んだのが、鋼の守護聖が自分たちの下敷きになったせいだと気付くのにはそうかからなかった。
「大丈夫!!?」
 マルセルが駆け寄ってくる。アンジェリークはうつろな視線を彼に向けた。
「怪我はない?」
彼は3人をそれぞれに見まわし、それからゼフェルの様子に気づいてはっと目を見開いた。「ゼフェル? …どこか痛いの?」
 後から降りてきたみんなも、3人を取り囲んだ。
「アンジェリーク!? ダイジョウブ!?」
 レイチェルの言葉に、アンジェリークは小さく頷く。途端に、足首がずきんと痛んだ。木から落ちるとき、枝に足をぶつけていたらしい。けれど、ゼフェルの様子を見て、我に返った。
「ゼフェル様…!」
 彼は手首を抱えて、うつむいていた。マルセルがその傍にかがみ込んでいる。メルが二人に近寄ってきた。
「ごめんね、ごめんね。メル、…メルのせいだ…。」
 半泣きになっているメルに、ゼフェルはきつい視線を向けた。
「これっくれー、何てことねーよ! 大丈夫だからほっとけっての!」
「何言ってんだ、大丈夫なんかじゃないだろ!? すぐに手当てしなきゃ!」
 ランディが叱るように言った。
「ごめんなさい…ゼフェル様。」
 アンジェリークは、小さく呟くように言った。まだ何が起きたのか、上手く飲み込めないまま。
「誤る事ねーってば。…オメーは十分やったよ。」
 ゼフェルはそう言うと立ちあがった。そして自分の状態を確認する。落ちてきた二人を受け止めたにしては、軽い怪我だった。手首を捻ったようだが切った傷ではないし、冷やしておけば大丈夫だろう。それに、ほかの二人にも怪我はなかったようだし…。
「大丈夫? 痛くない?」
 メルは心配げにゼフェルにまとわりつく。
「大丈夫だってば! …とにかく、気にするなって!」
 怒鳴られるように言われ、メルは思わず半歩下がった。その様子に益々気まずくなってしまうゼフェル。
「ねえゼフェル…。そのままじゃ駄目だよ。帰って手当てしなきゃ。」
 マルセルが諭すように言い、ゼフェルはしぶしぶうなずいた。

 

 楽しかったはずの遠出は、それでお開きになった。
 ゼフェルはマルセルに付き添われて一足先に戻り、後に残されたみんなは、バスケットとポットを片付け、見晴らしの丘を後にした。
 

  

 
- continue -

 


ゼフェルももちろん大好きなので、これからが微妙ですね。
申し訳ありませんが、次へ…ちょっと?続きます。
ではまた。
蒼太

2001.05.20

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